スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告
Ⅱ 美女炎上

 ここで、前田利家にまつわる逸話をご紹介したい。
 
 亜相公御夜話(前田利家の言葉を筆録したと云われる伝記であるが、近年の研究では所々の部分的な記述については否定的な見解もある。)に、利家が側近の者に語った話しとして、
「人は、不運・悲運に遭ってはじめて、友の善し悪し、自分本来の心根が分かるものだ。
その昔、わしは十阿弥という者を斬って信長公に勘当され、その後は浪人のように過ごしていた頃などは、親しく交わっていたはずの友人の多くがいつのまにか遠ざかっていき、柴田勝家殿と森三左衛門可成殿のお二人だけが、度々に渡って温かい心づかいをしてくれ、ことあるごとに訪ねて参られて励ましてくれたものだ。
後年の小田原攻めの際も、わしが太閤殿下から御不興を被った時には、わしのところに親しく出入りし、わしも目をかけてやった者たちは、それを知るとすぐに疎遠となり、わしの悪口をいたるところで言いふらしたり、太閤殿下にざん言したりしていたそうな。
浅野長政や蒲生氏郷が、いろいろと世話をやいてくれて、太閤殿下にとりなしてくれたそうだが、人の心根・本性は、己自身が不運・悲運に沈んだ時にはじめてよく分かるものだ。
 そして、不運な境遇にある時は、心温まる気づかいをしてくれる人はまことに少ないが、しかし少ないながらも、そのような人物たちこそ、もっとも頼りになる者と思うべきである。
 しかし、どうゆうものか、不幸な境遇にあるとなぜか、ひがみが多くなってのう、情けないものよ。」と言ったという。

 この利家の言葉は実に含蓄に富み、現代の我々も大いに教訓とすべきところであろう。

 誠実で正直な人ならではの洞察眼である。

 また、不幸な境遇にある利家を心優しくかばい立てした面々が注目に値する。

 柴田勝家は義理がたい人、森三左衛門は人情の人、蒲生氏郷は律儀で篤実な人柄、浅野長政は誠実で実直な人物で有名だ。

 類は類を呼ぶのであろうし、前田利家公の性格がよくうかがい知れるのである。




 さて、秀吉は利家を説得して味方につけ、共に軍勢を率いて越前北ノ庄に向かうのであるが、川角太閤記によれば、利家の妻のまつ(後の芳春院)は、息子の孫四郎(利家の嫡男。後の利長)を呼び寄せて、秀吉に随行するように言い聞かせたという。

 まつは賢母であったろう。

 利家は篤実な人柄なのであるが、それゆえに、勝家と秀吉との板ばさみになって心境が揺れ、焦慮しては思い悩み、その結果、利家の進退はひじょうに不明瞭なものになってしまった。

 そして、利家は信義の人であるがゆえに、利害の損得勘定はおろそかになりがちだった。

 秀吉が勝家を撃ち破った以上、前田家はれっきとした羽柴方であることを明白にしておくほうがよい。
 
 嫡男の利長を秀吉に随行させるということは、これは人質としての意味もあるのだ。ここのところ、まつの姿に現実的に生きる女性のたくましさがうかがえる。


 余談になるが、戦国時代の女性たちは比較的に自由奔放で、実にたくましい。

 織田家の池田恒興の娘で、「せん」という女性は、自ら鉄砲隊を指揮して戦場に赴き、熾烈な大激戦に参加しているし、家康の家臣で飯尾連竜という武将の妻の「お亀」などは、戦場で奮戦して大いに暴れまわり、なんと、一度の戦闘で十二人もの敵兵を斬り殺している。

 また、この時代に来日したルイス・フロイスは、その手記の中で、
「日本の女性は、処女の純潔を重視していないようである。日本では、離婚や再婚は日常的であって、それによって女性が名誉を失うことも全くない。」と記している。


 ちなみに、室町時代から戦国時代にかけて発生している様々なお家騒動の数々には、詳細に調べてみると必ずといっていいほどに女性が深く関与しているし、継子いじめの逸話が異常と思えるほどに多いのもこの期間だ。

 現代の我々は江戸時代の倫理感にいまだに影響されている面が多々あり、戦国の女性を想う時にも江戸時代の女性像をだぶらせて想像してしまいがちであるが、戦国の女性はまことに自由奔放という一面も持ち合わせて、その個性を強烈に発揮していたのである。

 もっとも、時代をもっとさかのぼれば、源頼朝と覇権を争った源(木曽)義仲には巴・山吹といった武勇に長けた女性が義仲と共にあって大激戦地で大活躍しているし、義仲が信州を出た時には、葵という勇猛な女性も随行していたと源平盛衰記に記載がある。

 ついでに、越後の城氏の勇婦・板額も実に有名だ。
 
 越後の城氏が鎌倉幕府に叛旗を翻し、鎌倉方の佐々木盛綱(宇治川の先陣争いで有名な佐々木高綱の兄)を主力とする大軍勢に攻め込まれた際に、吾妻鏡の記述によれば、
「板額、女の身たりといえども、百発百中の芸ありて、ほとんど父兄を越ゆ。」とあり、櫓から打ち放たれるその強矢によって、寄せ手の佐々木盛綱の郎党らは死者算なしの状態になったという。

 板額は、乱戦の最中に強矢に太ももを射抜かれ、弓を棄て、すぐさまに抜刀して暴れまわっているところを生け捕られてしまった。

 こうして主戦力を失った城氏は士気を失って降伏したのであるが、しかし家名断絶はまぬがれて、戦国時代の頃は上杉謙信に従っていたが、その後は叛いて武田家に帰服している。 


 話しがずいぶんそれてしまったが、最後に、板額女史の名誉の為に書いておかなければならないことがある。

 古来より板額は醜婦であったと伝わっているが、これは全くの間違いで、吾妻鏡の記述によれば、板額が捕虜となって鎌倉に連行された際に、源頼家が興味しんしんの様子で対面した折りに、
「くだんの女が面貌はよろしきに似たりといえども、心の武きを思えば誰か愛念あらんや。」と言っている。
 
 美人ではあるが、心根が実に猛々しいので男たちがもてあますであろう、といった感じであろう。

 
 巴御前が実に美しい人であったことは有名であるが、板額も容貌の秀麗な美人だったのである。             

 
著者HP http://7daiyamonde.blog60.fc2.com/
スポンサーサイト

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

【2010/01/04 22:08】 | Ⅱ 美女炎上
不如帰 ~戦国武将の幻影~


Ⅰ<覇王編>~逆賊 織田信長を討て!~  Ⅱ<争覇編>~織田家簒奪!秀吉の野望~

不如帰 戦国人物伝


美容室・ヘアサロン・ネイルサロン専門税理士

ランキングに参加しています。。。バナーをクリックして頂けると励みになります!

お気に入り

  • 紫電改を伝えたい!あいなんからの祈り
  • 日本百名城の旅
  • ひこばえ
  • ghost mail
  • 芸能エンタメ タレント最新ニュース&ランキング
  • 怖い話します
  • おんぞーし ノブ様
  • ☆オリジナルの高校数学の問題を掲載していきます☆
  • 嘘八百のこの世界
  • KEEP CALM AND WARBLE ON
  • 国時代を追いかけて日本の歴史つまみ食い紀行
  • 戦国&幕末 セレクト日本史
  • 心のうた|みよ@こたつむりが詠む詩集
  • 天満のイラスト日記!!
  • 施設内虐待(高齢者虐待)と戦う
  • にゃん吉倶楽部
  • 龍好き画伯の妻
  • 穴掘って吠えるでござる
  • えくぼママの喜怒哀楽三昧♪
  • 愛犬ジュジュのときどき後ろ前!?
  • 道東からのフォト
  • 花の店みちくさ
  • すずめ四季
  • 猫ろころころ
  • 極小ヨーキーの子犬がやってきた!
  • 木工と個別課題の部屋
  • 残された石垣を見つけたい
  • のんびり ゆったり 自遊気儘
  • 鼻毛虎日記
  • 別府葉子公式ブログ ~葉子通信
  • ノーベル賞候補犬 サンちゃん
  • 下町ESPRIT
  • 戦闘SLGプレイ日記
  • 東京ぶらぶらり
  • 千葉県 市川市 小岩 茶道具 古美術 絵画  買取 あんてぃっく壱
  • にゃおそふとプライベート
  • うづらのたまご
  • 青の傭兵
  • 小田原で木彫
  • 花のように
  • ビーチサイドの人魚姫
  • 花筐~花がたみ
  • デジカメ人
  • ビールは命の泉です。
  • アダルトチルドレンのまま楽に生きる
  • 全日本丸顔協会
  • ぷりしら商店の雑貨達
  • 愚行の日々を
  • アメリカ観光おすすめスポットまとめ
  • 旅レポート
    ブログランキング

    不如帰 戦国武将の幻影

    武将が騒がしくて、音がうるさい場合はサウンドを(Sound ON)をクリックしてください。SoundがOFFになります。

    (1)サムライに斬られないように注意しながら、かがり火を2回クリックして炎を青くすべし。 (2)左右の炎を2つとも青くすべし。 (3)その状態でサムライに斬られるべし。 (4)カーソルが斬られる瞬間、クリックすべし。 (5)タイミングが合えば、システムが起動する。

    最新記事

    月別アーカイブ

    カウンター

    ブログランキング

    blogram投票ボタン
    プロフィール

    不如帰の幻影

    Author:不如帰の幻影

  • ☆☆著者HPへアクセス・保険☆☆
  • ☆☆著者HPへアクセス・起業☆☆

  • 最新トラックバック

    カテゴリ

    RSSリンクの表示

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード

    QRコード

    検索フォーム

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。