スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告
Ⅰ 美女炎上



 ところで、羽柴方の捕虜になった佐久間玄蕃盛政は、玄蕃で名の通った猛将である。
 
 信長が以前、北陸の加賀国を平定する際、玄蕃は果敢に勇戦して加賀一向衆の討滅に尽力し、その後、信長の信任を得て加賀の支配を任され、尾山城を居城に定めてその地を統治した。

 川角太閤記によれば、玄蕃は賤ヶ岳の戦いに敗れ、主戦場から辛くも脱出し、その敗走中に越前国の付近で落ち武者狩りの襲撃に遭い、その地の土民らに捕縛されて秀吉の元につき出されたことになっている。

 秀吉は柴田勝家を越前北ノ庄城に滅ぼして後に、玄蕃の武将としての器量を惜しんで召し抱えようとしているが、これはきっぱりと断られている。

 
 秀吉が玄蕃を捕虜にした時の出来事として、川角太閤記にこんな逸話がある。
 
 秀吉は、玄蕃ほどの勇将を捕獲することができたので大いに喜んでいたのであるが、玄蕃を捕縛した土民らはことごとく捕らえ、
「百姓ふぜいが、落ち武者狩りとは不埒千万。勝敗は兵家の常、わしが負けていたら玄蕃と同じような目に遭っていたところぞ!褒美として、はりつけにしてやろう。」と言って、褒賞するどころかすべて殺してしまったという。
 明智光秀も土民の落ち武者狩りに遭っているのだが、
「あれは主殺しの悪逆、日向守は大罪人だ。あのときの土民らに咎め立ては無用。あれとは違う。」と、秀吉が付け加えて申し渡したと伝えているが、これは屁理屈といってしまえばそれまでの話しであろう。ずいぶんひどい話しだ。
落ち武者狩りをする土民らに、そのような区別がつくはずがないのである。

褒美めあてに、執拗に落ち武者を狙って捕縛したり、金銀や具足・刀剣などをめあてに襲撃して殺してしまったり、時には追いはぎをしたりするのだが、しかしこれは当時の動乱時にはありがちな状態であり、その時代の悪弊とでもいうべき問題だったのである。
しかも、それが戦勝した側(今回の場合は秀吉)にとって有利に働いていたという実情もあったのだ。
理屈ではないのである。


 一方、玄蕃のほうはあくまでも秀吉の招致をはねつけ、最期は京都で斬られている。
「きさまのような猿ごときに、わしを使いこなせるのか?よけいなことをごちゃごちゃと言わずに、さっさと斬れい!」と、最後の最期までさんざん悪態をついていたので、秀吉が閉口して諦めたという説があるし、常に冷静沈着、礼儀正しい態度で、その最期まで実に立派であったという説もある。

 ともあれ、秀吉には譜代の家臣がいなかったのだから、玄蕃のような経験豊かな猛将を配下に欲しいと思っていたのであろう。

 
 秀吉はその後、玄蕃の旧領を前田利家に与えている。
 
 利家は玄蕃の居城であった尾山城に入って前田家の本城としたのである。尾山は、後の金沢であることは皆様ご存じの通りである。



 さて、秀吉は敗走する柴田方を猛追撃し、執拗に追尾を重ねて越前北ノ庄にまで迫る。

 秀吉はこの途上中に、前田利家を説得して味方につけ、共に勝家の居城をめざして進軍している。

 一説によれば、賎ヶ岳合戦の以前に、秀吉と利家との間で内応の密約が結ばれていたというが、前田利家公の伝記に精通する者であれば、ひじょうに受けつけがたい、信じかねる見解であろう。

 前田利家は誠実な人柄で信義を重んじ、なによりも曲がったことの大嫌いな人物だったである。秀吉から誘い話しがあったであろうことは想像に難くないが、しかし、確約の返答まではできなかったであろう。

 
 柴田勝家は敗走の途中、前田利家の籠もる越前の府中城に立ち寄り、利家の心温まる気遣いに感謝して立ち去っている。
 秀吉もまた、柴田方を追尾の途上、大親友の利家を愛惜して府中城を訪ねて、昔懐かしい話しなどをしながら利家夫妻と歓談している。

 勝家も秀吉も、複雑な境遇に立たされて思い煩う利家の心情を十分に分かっていたのであろう。お互いに認め合える仲で、信じ合える交情がなければこうはいかないのである。
利家が信義の人であり、篤実な人柄であったから、危険な戦時の最中とはいえ、利家を愛惜して、わざわざ利家との面会を求めて立ち寄ったのであろう。


 また、利家は前田家の自衛上、勝利の見込める側に味方するしかなかったであろう。

 もし、賎ヶ岳の戦いにおいて柴田勢が優勢であれば、利家は勝家を支持し続けた可能性が高い。


 しかしながら情義に厚い利家が、信義を貫き通せばよいのか、前田家の繁栄を第一に考えればよいのかという選択肢に加えて、長年苦楽を共にしてきた直属の上司であり、大恩人でもある大先輩を選ぶのか、長きに渡って家族同然に付き合っている大親友を選ぶのかという岐路に立たされ、悲壮ともいえる決断を迫られたのだ。その心境は察するに余りある。

 観念と唯物の狭間で思い煩うことほど辛いものはない。これは今の現代も同じである。

 前田利家のような篤実な人物であればなおさら、もっとも辛いところであったろう。

 
著者HP http://7daiyamonde.blog60.fc2.com/ 

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

【2010/01/03 10:09】 | Ⅰ 美女炎上
不如帰 ~戦国武将の幻影~


Ⅰ<覇王編>~逆賊 織田信長を討て!~  Ⅱ<争覇編>~織田家簒奪!秀吉の野望~

不如帰 戦国人物伝


美容室・ヘアサロン・ネイルサロン専門税理士

ランキングに参加しています。。。バナーをクリックして頂けると励みになります!

お気に入り

  • 紫電改を伝えたい!あいなんからの祈り
  • 日本百名城の旅
  • ひこばえ
  • ghost mail
  • 芸能エンタメ タレント最新ニュース&ランキング
  • 怖い話します
  • おんぞーし ノブ様
  • ☆オリジナルの高校数学の問題を掲載していきます☆
  • 嘘八百のこの世界
  • KEEP CALM AND WARBLE ON
  • 国時代を追いかけて日本の歴史つまみ食い紀行
  • 戦国&幕末 セレクト日本史
  • 心のうた|みよ@こたつむりが詠む詩集
  • 天満のイラスト日記!!
  • 施設内虐待(高齢者虐待)と戦う
  • にゃん吉倶楽部
  • 龍好き画伯の妻
  • 穴掘って吠えるでござる
  • えくぼママの喜怒哀楽三昧♪
  • 愛犬ジュジュのときどき後ろ前!?
  • 道東からのフォト
  • 花の店みちくさ
  • すずめ四季
  • 猫ろころころ
  • 極小ヨーキーの子犬がやってきた!
  • 木工と個別課題の部屋
  • 残された石垣を見つけたい
  • のんびり ゆったり 自遊気儘
  • 鼻毛虎日記
  • 別府葉子公式ブログ ~葉子通信
  • ノーベル賞候補犬 サンちゃん
  • 下町ESPRIT
  • 戦闘SLGプレイ日記
  • 東京ぶらぶらり
  • 千葉県 市川市 小岩 茶道具 古美術 絵画  買取 あんてぃっく壱
  • にゃおそふとプライベート
  • うづらのたまご
  • 青の傭兵
  • 小田原で木彫
  • 花のように
  • ビーチサイドの人魚姫
  • 花筐~花がたみ
  • デジカメ人
  • ビールは命の泉です。
  • アダルトチルドレンのまま楽に生きる
  • 全日本丸顔協会
  • ぷりしら商店の雑貨達
  • 愚行の日々を
  • アメリカ観光おすすめスポットまとめ
  • 旅レポート
    ブログランキング

    不如帰 戦国武将の幻影

    武将が騒がしくて、音がうるさい場合はサウンドを(Sound ON)をクリックしてください。SoundがOFFになります。

    (1)サムライに斬られないように注意しながら、かがり火を2回クリックして炎を青くすべし。 (2)左右の炎を2つとも青くすべし。 (3)その状態でサムライに斬られるべし。 (4)カーソルが斬られる瞬間、クリックすべし。 (5)タイミングが合えば、システムが起動する。

    最新記事

    月別アーカイブ

    カウンター

    ブログランキング

    blogram投票ボタン
    プロフィール

    不如帰の幻影

    Author:不如帰の幻影

  • ☆☆著者HPへアクセス・保険☆☆
  • ☆☆著者HPへアクセス・起業☆☆

  • 最新トラックバック

    カテゴリ

    RSSリンクの表示

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード

    QRコード

    検索フォーム

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。