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Ⅲ 美女炎上


 さて、柴田勝家は本拠の北ノ庄城に辛くもたどりつき、すぐさま籠城の支度に取りかかり、複数の防衛陣を城外に構築して羽柴勢の来襲に備える。

 
 やがて、秀吉が膨大な軍勢を率いて北ノ庄に急迫して押し寄せ、柴田方の防衛陣地を難なく踏み潰して突破し、北ノ庄城は果てしなく黒みわたる大軍勢によって厳重に攻囲された。

 
 勝家は秀吉の降伏勧告を頑としてはねつけ、徹底交戦の構えをみせるが、しかし、しょせんは多勢に無勢、さすがの勝家も反抗を諦めて城を枕に自刀の覚悟となるのであるが、しかしこの最期の様相が実に豪快ですごい。

 勝家は家中の者たちを集め、今生の別れとて酒宴を催すのであるが、これが大変な大にぎわいであったらしく、宴席での声色や音曲の音色などが城外にまで響き渡り、これを聴いた羽柴方の者たちは、
「悲壮感が漂うどころか、ずいぶんと楽しそうではないか。柴田のおやじ様の最期にふさわしい、豪快なる前代未聞の末期の酒だな。」といってささやき合ったという。

 また、秀吉の咄衆であった大村由己はこの様相を、
「一族一家、しだいに、しだいに酌み流し(身分の順序に従って盃を与える)たるも、乱れ会ひ、入れ違へ(うちとけて、なごんできて、自然に各々の席が乱れてくるの意)、中ごろは思ひ指し(思い残すことのないように、以前から思いを寄せていた人と何度となく盃を酌み交わし)し、珍肴珍菓は、山の如く前に置く。
後には、上臈の姫公よりはじめて局々の女房たち、老婆、尼公にいたるまで、上中下をはばからず、若き妓女に酌を取らせ、一曲の歌、五段の舞、くりかえし、くりかえし、酔をつくす。」と、鮮明に描写している。

 今生の別れであったので、前後を忘れて酒を酌み交わし、かなり狂騒的になっていたのであろう。

 そして、その酒宴もやがて果てて後に、勝家は家臣たちの自刀を見とどけ、家中の子女らの介錯もすませた後に天守閣にのぼり、城を厳重に包囲する羽柴勢を眼下に見据えながら、
「後学にせよ!」と叫び、その場で割腹して五臓六腑を引きずりだし、家中の者の介錯でこの世を去っている。

 武士の作法では、落城の際には遺骸を残すことを恥じとするが、勝家はあらかじめ家臣に命じて爆薬まで用意させており、勝家の遺骸はその最期と同時に、天守閣もろとも吹っ飛んで消滅している。
 まさしく、武士の作法にならった潔い最期であったのである。


 余談になるが、以前、織田信長に反旗を翻した大和郡山の信貴山城主の松永久秀も、落城の最期の際には爆死を選んでいる。
 私は、信長は本能寺で爆死したのではないかと思う者であるが、当時の本能寺は深い堀に囲まれ、櫓や防護柵もあったと云われるから、あれは単なる寺ではなくて、城砦ではなかったかと思うのである。
だから、本能寺が城砦であったとすれば、明智光秀によって落城させられたことになるから、本能寺の落城の際に信長が武士の作法に従って爆死を選んだとしても不思議ではないのである。

 しかし、織田信長は破天荒な天才で、いたずら好きな人であったから、きちんとした作法や慣習に従ったかどうか、疑問の余地も残る。


 
 さて、勝家に再嫁していた国色無双といわれるお市の方は、夫に殉じる道を切望し、愛娘たちを残して自刀して果てている。

 
 お市が辞世の句として詠んだ歌は、

 
 さらぬだに 打ち寝るほども 夏の夜の 夢路を誘ふ ほととぎすかな 


 
 そして、勝家が返し詠んだ歌が、

 
 夏の夜の 夢路はかなき 後の名を 雲井にあげよ 山ほととぎす 


 
 お市も戦国の女性だ。
 ほととぎすの鳴き声にねむりを誘われるかのように、その死に臨んであくまでも自然体を貫き通そうとしたのであろうし、柴田勝家の句には武士としての名を惜しむ気概、気骨さが感じられ、鎌倉武士の姿を髣髴と想い出させられる。


 
 ところで、お市の三人娘は密かに城を脱出して、秀吉の元に委ねられて無事に保護されている。

 この娘たちの脱出劇は、勝家サイドから内密に秀吉に連絡を取ったのか、秀吉のほうから話しがあったのか定かではないが、しかし、勝家夫妻は涙声をこわばらせて、とめどなく流れ落ちる涙を膝元にこぼしこぼししながら説得したのであろうし、その言葉にとまどい、うつむき、落涙し、泣きじゃくる娘たちの姿を想うとき、私は切ない感傷を覚える。


 戦国の世とは、本当に無情である。


 この娘たちの前半生は悲壮、実にはかない。


 実父(浅井長政)は母親の兄(信長)に殺され、その後、母子ともに権力闘争に巻き込まれ、母ははかなくも悲壮な自害。

 まだあどけない顔の少女たちが落城を二度までも経験し、その眼前で大炎上する城に、義父と母親を失っているのだ。

 もはや涙も枯れはてて、ただ沈うつに、その場でうつむくばかりであったであろう。


 
 あまりにもむごい現実であり、私にはこの少女たちをなぐさめ、いたわる適切な言葉がどうしても思いつかない。



著者HP http://7daiyamonde.blog60.fc2.com/

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

【2010/01/09 01:09】 | 未分類
不如帰 ~戦国武将の幻影~


Ⅰ<覇王編>~逆賊 織田信長を討て!~  Ⅱ<争覇編>~織田家簒奪!秀吉の野望~

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