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Ⅰ 秀吉の野望


羽柴秀吉と柴田勝家との熾烈な争覇戦、両者の雌雄を決っする天王山となった賤ヶ岳の戦いは、これは近年の諸説によれば、秀吉の率いる商人系武士団と勝家の擁する農業系武士団との決戦であったという見解がある。

そしてこの織田家の分裂騒動が、当時の戦国大名たちが農業系の武士から商人系の武士へと転換していくターニングポイントであったとも解説しているが、同感である。

 農民系の武士とは、兵士であると同時に農業に従事している軍人のことで、その典型として実に有名なのが四国土佐の長曾我部家の一領具足だ。
農作業の時には、田畑のあぜ道付近に槍や具足などを置いておいて、有事の際はササッと武装してすっ飛んで行くのである。

 商人系の武士とは兵農の分離した専業の軍人のことである。
 説明すると長くなりそうで恐縮であるが、かなり以前に別の章で詳しく書いているが当時の寺社勢力(比叡山延暦寺や本願寺など)の僧兵らが、なんであんなに猛烈に強かったのかというと、それは傭兵のような専業の軍人だったからだ。

 僧兵といえば、お坊さんや修行僧などが有事の際に武装して戦っている姿をイメージしがちであるが、実はそうではない。
寺社勢力に金銀などで雇われた専業の武士たちが僧徒の姿をして戦っていたのである。農業生産にはほとんど従事せず、日々戦闘訓練に励んでいる戦争の専門家なのだから、これは猛烈に強い。

 寺社勢力は朝廷の公家衆と結んで門前市をはじめとする「座」の特権をにぎっていたから、商いによる経済市場から濡れ手に粟のように金銀がざくざくと集まってくる。
 
 「座」とは同業者組合のことだが、これは現代の同業者組合とは意味合いが全然違う。
当時は、これに加入しないと商いができない仕組みになっていて、未加入のまま商売を続ければしつこい嫌がらせに遭い、時には殺されることもあったというから、この時代は商いも命がけだ。

この組合制度は、物価を自由に操ることができたと云われるくらいに実に独占的であり、寡占化された市場なのだから「座」の特権をにぎっている寺社勢力は恐ろしく儲かるのだ。

 だから、寺社勢力はその潤沢な資金をふんだんに使って専業軍人を養うことができたのである。

 
 また、当時の寺社勢力は実に強勢で、古来の朝廷から認められていた自治権を主張してやまなかったから、国主に対して租税を納めることもほとんどない。現代風にいえば脱税天国といったところか。たちまちにして金銀がたまるシステムになっていたのである。
したがって、これは一種の独立王国のようなもので、徳川家康はその昔に三河で一向衆と激烈に戦って弾圧し、薩摩の島津、越後の上杉、関東の北条などは一向宗の禁令を強いているほどだ。

 
 当時の寺社勢力は、資金力の豊富な独立王国のようなもので、しかも強力な武装集団だったのである。

 
 そして、その寺社勢力の資金力の源を鋭敏に嗅ぎとり、僧兵の実態を詳しく研究し尽くし、それをヒントにいち早く大々的に応用してみせたのが、織田信長だったのだ。

 織田信長は、関所を撤廃して商人たちを自由に往来させ(当時の領主・寺社はいたるところに関所を設け、通行税を取って荒稼ぎしていたのだ。)、楽市・楽座を断行して自由経済市場を発展させて重商都市を作り上げ、そこから課税して金銀を吸い上げて専業軍人を養うというシステムを開発したのである。
 
 これが信長流の兵農分離の方程式であり、いつでもどこでも戦える商人系の武士団の登場となるのである。
 
 織田信長の比叡山の焼き討ち、一向衆門徒の大虐殺は確かに善行とはいえないが、しかし、悪弊とでもいうべき寺社勢力・公家衆の既得権が経済の成長を妨げていたことも事実であり、寺社勢力が強力な武装集団となって戦国大名たちの国政を強烈に圧迫していたのであり、既得権益の上にあぐらをかいてのさばっている怪物、当時の誰もが手を焼いていた積弊と化したこの歪んだ社会システムに毅然とメスを入れ、まさに命がけで構造改革を断行したのが織田信長だったのだ。
 
 だから、信長はえらいのである。
 
 
 ちなみに、江戸時代になると士農工商という身分制度ができるが、その尖端を開いたのが信長なのである。
もっと詳しく調べる必要があるのかもしれないが、織田家の分裂騒ぎの頃がちょうどその身分制が確立されるまでの過渡期にあたっているように思われる。兵農分離から身分制度が生まれるまでのターニングポイントであったといっても過言ではないであろう。


 このような信長の重商主義を貫いて専業軍人を養うという手法は、織田家のそれなりの武将であれば気づいていて当然しかるべきことであり、後年の羽柴秀吉の港湾都市化政策、蒲生氏郷の重商都市化計画がそれを如実に証明している。
 柴田勝家もそれを十分に認識していたであろうと思うが、しかし勝家の主力とする支持基盤は北陸だったのだ。

 北陸地方といえば農作物の豊かな農業中心地帯であるから、どちらかといえば商業ではなくて、今の現代風にいえば日本の農作物の基幹産業たるメーカー側の方が適している。流通よりも生産を重視する政策のほうが効率がよい。

 したがって、早急な兵農分離など到底できるものではないし、旧態依然の兵農一致政策に頼らざるを得ない。

しかも、商業港湾都市も未発達であったから、貿易や流通による利得は期待できないのである。

 一方の秀吉は地の利に恵まれて早々と畿内の重商地帯を押さえていたから、資金力ははるかに豊富であったろうし、専業の武装集団でもあるから農繁期に関係なく年がら年中戦えるわけで、持久戦もめっぽう強い。

 
 諸史料によれば、柴田方の諸将は当初から士気が異常と思えるほどに低かったようである。

前田利家の賤ヶ岳での敵前逃亡に近い退却劇などはその最たるものであるが、しかし、利家は頭の中でソロバンをはじいて農業系武士団の限界を感じ取り、秀吉の率いる商業系武士団の将来性に賭けたのかもしれない。

 前田利家ほどの人物であれば、信長の手法を体得していたに違いないし、この選択は仕方がないところであったろう。


 
 柴田勝家の不運は、地の利に恵まれなかったことにあるのかもしれないが、しかし残念ながら、運の悪い者は英雄にはなれない。



著者HP http://7daiyamonde.blog60.fc2.com/

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

【2010/01/13 08:01】 | 未分類
不如帰 ~戦国武将の幻影~


Ⅰ<覇王編>~逆賊 織田信長を討て!~  Ⅱ<争覇編>~織田家簒奪!秀吉の野望~

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