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Ⅲ 秀吉の野望



さて、こうして秀吉は敵対する諸勢力を徹底的に掃討し、瞬く間に信長の後継者としての地位を磐石なものにしていくのであるが、これを横目で黙々と眺めていた徳川家康の心境はどのようなものであったろうか。

 秀吉は抜け目なくも朝廷に働きかけて官位も徐々に獲得していき、天正十一年の頃には従四位参議にまでなっているのだ。

 
 卑しい草履取りの猿面の男が信長の彗眼にとまり、いつのまにか大抜擢されて将校にまで昇りつめ、浅井・朝倉連合軍との金ケ崎の撤退戦では共に協力し合って戦ったあの一武将が、今では四海をうかがうまでの大群雄に成長したのである。

 常に慎重・堅実地道を心がけてきた家康にとって、秀吉の驚異的なスピード出世劇は驚嘆すべきことであったろうし、秀吉のあまりにも見事な政略の才覚を伝え聞いて動揺の色も隠せなかったであろう。

腕を組んで、うなって考え込んでいたかもしれない。

 秀吉は柴田勝家を討滅した後、視野を全国にまで広げ、東は越後の上杉景勝と和親して融和策を図り、西は毛利家から吉川広家と毛利秀包とを人質として大坂に差し出させているぐらいの威勢のよさなのである。

 
 家康はともかくも重臣の石川数正を使者に立て、秀吉の元に送って戦勝の祝辞を述べさせている。


 
 ところで、ここで余談を書くが、秀吉の築いた大坂城は信長の構想した城なのではないかという説があるが、同感である。

 秀吉は柴田勝家を滅ぼした後に、摂津大坂の領主である池田信輝(勝入斎で有名。彼の母親は信長の乳母との説あり。池田家は元々は摂津ざむらいのようである。信輝の父親か、祖父の頃に尾張に移り住み、その後、大飛躍した信長から功績を認められて摂津を拝領したのである。信輝は山崎の戦いでは四千もの軍勢を率いて明智勢を撃破し、戦局を好転させたほどの勇将。)に頼み込んで信輝を美濃大垣城に移封し、築城の縄張りを黒田官兵衛に任せての大工事に着手している。

 これはあまりにも俊敏にすぎる決断・行動であり、すでに以前から大坂を本拠とする候補地と考えられていた節がある。
 
 信長は前々から征服すべき戦略目標に向かって居城を転々と移動しているし、大坂の地は西国のかなめで豊かに栄えていた重商地帯なのだ。信長の目にとまらないはずがない。

 秀吉は信長の弟子といってよいくらいの人物であるから、信長の手法を骨髄にしみわたるほどに体得していたであろうし、もしかしたら以前に信長から大坂の地の有用性を直接聞いていたのかもしれない。

 ちなみに、耶蘇会のバテレンであるフェローは本国への報告書の中で、大坂城の築城工事には三十余ヵ国の諸大名に手伝わせ、一日に三万人、多い時には六万人もの人員が動員されているとあるが、しかしこれは秀吉の威勢が全国に広がりはじめた天正十三年前後の頃のことであり、天正十二年前後の頃は秀吉の家中や仲の良い武将たち、付近の良民らだけを動かして手伝わせていたようである。

確かな史料がないのが残念ではあるが、秀吉が本拠を構えるための大築城工事なのだ、秀吉の歓心を買うために喜んで協力する武将たちも多かったに違いない。
大坂城の支城的な役割を担う和泉に中村孫平次(秀吉の播州遠征以来の股肱の侍大将。)、尼崎・池田には三好(羽柴)秀次、茨木に中川秀政、山城の槙島には一柳直末、そして大和に筒井順慶を配置しているから、おそらくはこの武将たちがもっとも尽力して協力したのであろう。


 
 さて、ともかくも秀吉は難攻不落の大坂城の築城工事を急がせ、信長の後継者たる覇者としての権勢を誇り、まるで天下人の如くふるまっていたのであるが、織田信雄が全然おもしろくない。

 「家臣のぶんざいで、わしをねじこみおる!」と、憤懣やるせない。

 織田信雄は側室の子だが、れっきとした信長の実子であり、身分ある大名の生まれだ。

 
 秀吉は出自の判然としない、卑しい土民ふぜいの生まれで、改正三河後風土記によれば秀吉が武家奉公する以前は、与助と名乗り、川でどじょうをすくい取って売っていたとあるぐらいなのだ。


 信雄にしてみれば、出自・素性・身分の上でも納得できず、しかも柴田征伐の折に秀吉は、
「勝利のあかつきには信雄様を主人と仰ぎ奉り、ご奉公させていただきますぞ!」などと、調子のよいことをさんざん言ってあおり立てていたから、信雄のほうもすっかりその気になっていたのだ。

 
 そんなわけだから、
「そろそろ俺にゆずってくれてもよい頃だろうに。」と、ヤキモキしながらイライラしているところで、いつのまにかおやじの後継者ヅラをして立ち振る舞っている秀吉に、好意を持てようはずもなかった。


 信雄の心中は、不満ダラケであった。


著者HP http://7daiyamonde.blog60.fc2.com/

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

【2010/01/19 05:23】 | 未分類
不如帰 ~戦国武将の幻影~


Ⅰ<覇王編>~逆賊 織田信長を討て!~  Ⅱ<争覇編>~織田家簒奪!秀吉の野望~

不如帰 戦国人物伝


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