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徳川家康の臣従 Ⅶ (激闘 上田合戦 3)



徳川勢は、真田昌幸からの使者の口上を信じ、まもなく降伏してくるのであろうと思い、しばらくの間はそのまま滞陣していたのであるが、その数日後、例の使者が再びやってきて、申し訳なさそうな口調で、

「当家の主人は、降伏した後の家臣や家人らの行く末を案じ、それぞれの身のふりかた・今後の処遇なども考える猶予が必要となりまして、恐れながら、あともう四・五日ほど待っていただきたいのです。」と、ハラハラと涙を落とし、頭をたれて言う。


 この口上に徳川方は、

「さすがは昌幸殿。武士は相身互い、家臣らを思いやる心がけはあっぱれ、実に見事なものじゃ。待って進ぜよう。」と、気を許して、マタマタ待つことにしたというのだが、しかし、これは実にいぶかしい話だ。

真田昌幸の元には、旧武田家の精強で勇猛な士卒らが多数召し抱えられていたので、それを知っている徳川方の諸将は、

「ヘタにこじれたら面倒だ。」と、思っていたのかもしれないが、しかし、これは実にまぬるい。

 一度ならずとも二度までも許して待つことなど、これは老臣らの明らかな怠慢であり、言語道断の仕業である。

 家康が在陣していれば、少しは補いもついたのであろうが、しかし、これも運命なのであろう。


 案の定、張本人の真田昌幸は、「アホウめ。うまくいったわい。」と、ほくそ笑んでいた。


 信州には、「さいぶり」といって、平地では普通に晴れているのだが、しかし山間部の奥地のほうでは大雨になっているという特殊な現象がある。

 川を塞き止めていた昌幸は、貯水量の頃合いを見はからい、堰を切る絶妙のタイミングを待っていたのだ。



そして、昌幸は神川の堰を切る頃合いよしと見るや否や、例の使者をマタマタ徳川方にやり、
その使者は、待ってましたとばかりに馬を飛ばし急いで、徳川勢の遠方にだしぬけにに現われるや否や、大音声に、

「徳川に一度たりとも反抗した者は、しょせん、一生浮かばれぬ身でござれば、城兵家臣一同、城を枕に討死する覚悟に決め申した。おのおの方、お好きなように寄せてこられい。」と叫び、一目散に逃げていったのだ。


 怒り心頭とは、まさにこの時のことをいうのであろう。


 うまく騙されてしまった徳川方は憤怒し、やみくもに上田城めざして殺到していき、怒涛の猛進撃を敢行しながら肉迫する。


 その刹那、昌幸が好機到来とばかりに川の堰を切らせたからたまらない。

 大轟音とともに大量の土石流が猛然と徳川勢に襲いかかり、その津波のような漆黒の濁流がたちまち兵士らを呑み込んでいき、その激流は徳川方の後方の退路までもを遮断した。


 ここで私見を書くが、退路を断たれた軍勢というのは、いつの時代も、その士気は恐ろしく低下し、諸将の指揮系統もほとんど麻痺して壊乱するのが常である。

前漢の名将である韓信は、趙軍との決戦において、自ら退路を断って背水の陣を用いて快勝したのであるが、しかしあれは韓信も諸将も、敵に謀略がないことを知っていたから用いた戦術なのである。よほどの名将でない限り、退路を断たれた軍勢を制御するのは難しい。


 さて、上田城内では、このような痛快な光景をまのあたりにして歓声がわき、昌幸の家老らは好機到来とばかりに出撃を強く主張するのであるが、

「待て、待て。そうせくでない。まずはひとつ、腹ごしらえじゃ。」と、昌幸はゆっくりと床几にすわり、側に控える幸村と共に湯づけをさらさらと食して、一息入れて落ち着き払う。





【2015/03/21 20:48】 | 未分類 | コメント(0)
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