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王覇 信長の幻影 (秀吉の関東征伐 徳川家康と督姫)

 以前に別の章で詳しく書いたが、本能寺の変で織田信長が横死したことにより、旧武田領の甲州・信州・上州は大混乱の状態となり、隣国の徳川家・北条家・上杉家の切り取り勝手しだいの争地と成り果てた。

特に、徳川と北条との激戦が諸所で展開され、しばらくは大勢力を誇る北条方が圧倒的に優勢であったが、しかし、徳川方の真田昌幸・依田信蕃が碓氷峠の北条勢を痛快なまでに蹴散らし、北条方の糧道を徹底的に遮断したことにより戦局が大逆転し、
その後、徳川・北条は和睦したのであるが、この時の和睦の条件よって徳川家康の娘の督姫(ごうひめ。「とくひめ」と読む書物も多い。名は、おふう)が北条氏直に嫁いでいる。

 したがって、家康にとって北条家は親戚なのであり、北条家当主の氏直は娘婿なのだ。

家康としては、なんとかして北条家を救ってやりたい気持ちも山々であったろうが、しかし秀吉に逆らうことは徳川の存亡に関わる危険な賭けであったろうし、
だいたい、元々が、これは好き好んで交わした縁組でもなかったし、あくまでも和睦を成立させるためだけの政略的な必要上のことでしかなかったのだから、
したがって、そんなことよりも逆に、ここで秀吉に対してさらなる恭順の意を表しておいたほうが大いに得策だとも考えたであろう。

家康は北条家をかばうことをサラリと諦めて、しかしその内心では娘の安否を心配しながらも、秀吉に忠実に従う覚悟を決めたのであった。

 ところで、長い余談になるが、督姫の「毒まんじゅう伝説」は実に有名な話しだ。

 督姫は上述のとおり、政略上の犠牲者となって北条氏直に嫁いだのであるが、しかし後年、北条家は秀吉によってお家とり潰しの断絶の憂き目に遭ってしまう。
 当主の北条氏直は家康の助命嘆願によって一命を取りとめて高野山に入り、督姫も夫に付き添うかのように従ったようであるが、
しかし運命とは皮肉なものだ。北条氏直は翌年には病没し、督姫は27歳にして寡婦となってしまっている。
その後は、傷心の身で父の家康の元に帰ったと云われる。

その後、秀吉の斡旋・仲介によって、妻と離別してやもめ暮らしをしている池田輝政に嫁いだというのだが、しかしこれはあやしい。

なぜなら、池田輝政が妻と離縁しなければならなかった理由が、いくら調べても不明瞭であいまいであり、
妻の産後の肥立ちが悪かったことによる体調不良を離別の原因とする説もあるのだが、しかしこれも詳しく調べると説得力が全然なくて、いっこうによく分からんのである。

おそらくは、池田輝政は、秀吉から内々に督姫との縁談をもちかけられていて、池田家の安泰と将来性を期して妻と離縁したのではなかったかと私は疑っている。

だいたい、当時の戦国武将たちは、とてもずる賢くて、実にさとい。
まぁ、そうでもしなければ生き残れないという厳しい時代背景もあったのだが、家康の娘との縁談ともなれば、これは、なりふりかまわずに飛びつく者も多かったに違いないのである。

 さて、ともかくも、ことの経緯はどうであれ、督姫は池田家に嫁いでいくのであるが、しかし父親の家康としては、前回はかわいい娘を北条に嫁がせて政略上の被害者にしてしまい、
今回は今回でまた、時の大実力者である秀吉からの助言に従わざるを得えなかったわけで、督姫には無理強いの犠牲者のような思いをさせてずいぶんとむごいことをしたものだと、深く後悔していたのであろう、後年は督姫ばかりではなく、池田輝政もその子供たちも家康から実に破格なほどに優遇されている。

 池田輝政も督姫を寵愛していたようで、あの目まぐるしく忙しい時代背景の中で、男子五人、女子二人の子宝に恵まれている。

 
 ところで、史料の吉備温故秘録によれば、池田輝政には前妻との間に利隆がおり、後年、督姫が実子の忠継を世継ぎにしたいと思い、
侍女に毒入りのまんじゅうを作らせて利隆の前に供した。

 利隆は、継母(督姫)から常に冷たい仕打ち、日頃からつらいめに遭わされているので、そのまんじゅうを不審に思い、手をつけない。
 
 侍女も利隆を哀れんで、手のひらに毒と書いてそれとなく知らせるが、それを見ていた忠継は利隆をふびんに思い、哀れみ、また、奸悪な母を憎んで、

「ほう、うまそうなまんじゅうだな。一ついただこう。」といって、その場でムシャムシャと食べ始めた。

吉備温故秘録に、それを見た督姫は、

「良正院(督姫)殿の御顔色、見るうちに赤くなり、青くなり、いろいろに変じたりといふ」とある。

督姫も今さらながら自分の不明を恥じたのであろう、彼女もその場でまんじゅうを食べて、その日のうちに亡くなり、忠継もその月の23日には死んだという。

この伝説は後年、昭和の50年代にすでにいろいろと検証されでウソと判明しているのであるが、しかし、いまだに根強く伝播してしまっているので、督姫の汚名を回復するために長々と書いてしまった。

このように、逸話や伝説には信憑性の薄い話しが本当に多いのだが、
しかし、歴史は、物語にしないとなかなか伝わらないものである。これは、今の現代も同じだ。コピーライティングを少しでもかじったことのある人であれば、すでにご存知の方々も多いであろう。

単純明快で、意外性があり、感情に訴える物語は、これは伝説や逸話に限らず、末永く、世代を超えて長々と伝播している。

督姫の毒まんじゅう伝説も、単純明快な話しであり、毒殺という意外性もあり、話しの内容は実に感情を揺さぶられる構成になっている。

しかし、だからといって、私は伝説や逸話や軍記物をまがい物として否定する者ではない。

なぜなら、歴史が歴史的な事実・真実を追及するだけのものであれば、これほど無味乾燥のつまらないものはないからである。

歴史の事実・真実などというものは、つまるところ、歴史上の人々を地下から起こしてきてインタビューして判断するか、タイムマシンで過去に行って見聞してみないと分からないのである。

必死になってあらゆる史料を丹念に検証して整合性を試みたところで、歴史の事実・真実に迫るには限界がある。あくまでも予想の領域を免れないからだ。



 伝説を聞いて、逸話や軍記物を読んで、しだいに歴史に関心を持つようになって、そして、やがて歴史上の人物たちの実像に興味を持つようになっていく。

そしてそのうちに、それが本当なのかどうか疑問に感じるようになり、ここでやっと、歴史の事実・真実の追及に興味をもつようになるのではないかと思うのである。

それが、自然の発露というものであろうし、だから、私は歴史が好きなのだ。

 

【2015/10/16 00:36】 | 未分類 | コメント(0)
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